【袋になる原因】これで分かった!着物のたるみ【裾袋直し方】

「裾袋」とは、着物の裾部分がたるんでしまい、袋のような状態になることを指します。この状態になると、見た目が美しくないだけでなく、着付けをしてもシワが気になり、着心地に影響を与えることがあります。
アイロンでの応急処置ではある程度改善することもありますが、根本的な解決には至らないことが多く、適切なメンテナンスが必要になります。
着物が袋になる理屈を知り、袋にならないようにしっかり地詰めをしましょう。
また、すでに袋になっている着物は「仕上げで直す」「お仕立てで直す」の二通りの方法があります。
受け付けた着物で、程度の差はありますが、袋になっている割合は半数以上あります。
そのほとんどは、仕上げの工程で直りますが、程度のひどいものは一部ほどいてお仕立で直します。
袋になる原因
結論から言うと、地詰め作業の不備が原因になります。
地詰めとは?
湯のしは、反物に蒸気をあてて、シワを伸ばし、縦糸と横糸、幅を整える作業のことです。
洗い張りの後や地入れした紬など一度水に入った反物や新品もテンターで整理します。
しかし、この工程後すぐに仕立てると袋になる原因になります。必ず、地詰めをしなくてはいけません。
湯のしの工程でテンターから降りてきた反物は、縦糸方向にテンションがかかっています(縦方向に伸びています)。
(テンターから降りてきた反物)
地詰め作業は、電蒸アイロンでこれ以上詰まらない様に、しっかりとテンション(張り)を緩め、安定させます。
(地詰めした後の反物)
袷の場合は三種類の地詰めをします。
地詰めが行き届いた反物は袋やたるみが無く、着付けしやすい着物で仕立てられます。
もちろん、袷の場合、胴裏、八掛も地詰めします。
・着尺(表地)
・胴裏
・八掛
※胴裏や八掛とのバランスの崩れ
着物の仕立ての際、着尺(表地)、胴裏、八掛の地詰めが均等に行われていないと、一部分だけがたるんでしまうことがあります。特に、胴裏や八掛が安定しているのに対し、着尺だけが地詰め不足だった場合、裾部分に袋状のたるみができやすくなります。
裾袋の修正方法
仕上げで修正しても、もう一度着て、汗ばんだりするとまた戻ります。
当店は多少のくるいの着物は、修正しても追加の仕上げ代は発生しません。
縫いなおしのコストが抑えられます。
仕上げで修正する
軽度の裾袋であれば、専門の仕上げ工程で修正が可能です。具体的には、
・たるみが出ている部分の布地を適切に引き伸ばし、地詰め不足を補正する
・電蒸アイロンを使用し、布地を安定させる
たるんでるところは、直角になるように縮んでいる寸法分伸ばし、仕上げます。
お仕立てで修正する
仕上げ工程では直しきれない場合、一部ほどいて再仕立てを行います。特に裾部分の縫い合わせを調整することで、見た目と着心地のバランスを整えます。
・修正費用の目安: 8,000円~(程度により異なります)
・修正方法: 一部ほどいて再仕立て、または全面的に縫製を見直す
まとめ
裾袋は、適切な地詰めが行われていなかったり、湿気の影響を受けたりすることで発生します。軽度であれば仕上げで対応できますが、状態によっては再仕立てが必要になることもあります。
当店では、着物の状態を丁寧に確認し、最適な修正方法をご提案いたします。